現在の仏像彫刻ではヒノキやクスが一般的ですが、彫刻刀に慣れて木材を扱う感覚が得られるまでは、もう少し軟らかい(彫りやすい)材をおすすめします。
宗雲先生の教室では六地蔵をジェルトン材(東南アジア産)で彫ります。6体彫るのに数年かけて木と彫刻刀の扱いに慣れます。
それ以外には、朴(ほお・版画板によく使われる)、シナ(北海道の木彫り熊に使われる)など。朴やシナは木彫材で検索すると何軒かの木材店が出てきます。ジェルトンは一般的ではないようで、あまり見掛けません。※ジェルトンは前田木材でカービング用として販売されているそうです。
尚、軟らかいだけではダメで、「粘り」も必要です。粘りは、他の感覚で例えると「彫刻刀を入れた時にしっとり感がある」感じです。杉のようにボロボロ崩れてくるのは粘りがなくて彫刻に向かない材です。
木の素材屋さん(道央ランバー株式会社)には手頃な価格の軽軟材があります。シナおすすめ。天然木.netにもカヤ・朴など色々出ています。
「仏像彫刻のすすめ」にある像や台座用なら前田木材やケインドレイクにカット材があります。木楽屋では購入した木材のカットを安くやってもらえます。他のお店も質の良い(節や割れのない赤身柾目の)木彫材を提供されていますので、目的の木材で検索してみてください。
木のことが判らない内は、上記のような木彫用として販売されている物を購入する方が失敗がありません。
木材に慣れてきたら近所の木材店に問い合わせてみてもいいと思います。ただし、木彫材として扱っていないお店だと木彫材に必要な特徴・条件を知らないこともありますので、どんな木材・部位かの説明が必要となります。
もし生木を手に入れた場合は、1年以上(丸太なら数年)寝かせる必要があります。雨と直射日光が当たらないようにして風通しの良い場所でじっくり乾燥させるそうです。寺社のご神木が倒れたりすると仏像用に譲ってもらえることがあります。